猫は砂漠地帯を起源とする動物のため、「水への欲求が弱く、あまり水を飲まなくても生きられる」という性質を持っています。しかしこれが現代の室内猫にとっては問題になっています。水分不足が続くと尿が濃縮され、尿路結石・膀胱炎・慢性腎臓病のリスクが高まります。猫の死因として非常に多い腎臓病を予防するためにも、水分補給環境の見直しはとても重要です。
猫に必要な1日の水分量
猫の1日の必要水分量の目安は「体重(kg)×40〜60ml」程度です。体重4kgの猫なら160〜240mlが目安。ただし、この水分はドライフードに含まれる水分や、ウェットフードからも摂取されます。ドライフードオンリーの場合は食事からの水分が非常に少ないため、飲み水でカバーする必要があります。
猫が水を飲まない5つの理由
- 器が気に入らない(素材・深さ・大きさ)
- 水の場所がフードやトイレの近すぎる
- 水が古くなっている・不衛生
- 止まった水より流れる水を好む本能がある
- ドライフードしか与えていない
解決策①:器を変えてみる
猫はひげが器に当たるのを嫌います。深すぎる器は飲みにくいため、広めで浅い形状がおすすめです。素材はプラスチックよりもステンレス・陶器の方が衛生的で、雑菌が繁殖しにくいです。また、透明のガラスを好む猫や、白い器を嫌う猫など、見た目への好みを持つ猫もいます。いくつか試してみて、猫が飲みやすい器を見つけましょう。
解決策②:場所を増やして分散させる
水飲み場を複数箇所に設置すると飲水量が増えることがあります。猫がよく通る場所・くつろぐ場所の近くに置きましょう。ただし、フードボウルやトイレとは別の場所に置くことが重要です。猫は本能的に食事・排泄・飲水の場所を離す傾向があります。
解決策③:ウォーターファウンテン(循環式給水器)
猫は流れる水を好む本能があります(水道の蛇口に飛びついてくる猫はこのタイプ)。循環式の給水器を使うと飲水量が増える猫が多く報告されています。製品によってはフィルターで不純物を除去してくれるため、水の清潔さも保てます。価格は2,000〜8,000円程度。静音設計のものを選ぶと猫が怖がらず使いやすいです。
解決策④:食事で水分を補う
ウェットフード(缶・パウチ)の水分含有量は約70〜80%で、ドライフードの約10%と比べて圧倒的に多いです。全食をウェットに変える必要はありませんが、朝・晩のどちらかをウェットにするだけで水分摂取量が大幅にアップします。ドライフードにぬるま湯を少量混ぜる「ふやかしご飯」も手軽に水分補給ができる方法です。ちゅ〜るなどの高水分おやつも水分補給の補助として活用できます。
水分不足のサインを見逃さない
- 尿の色が濃い・尿量が少ない(砂に固まった塊が極端に小さい)
- 皮膚をつまんで離しても戻りが遅い(脱水のサイン)
- 元気がない・食欲低下・嘔吐
- 頻繁にトイレに行くが少量しか出ない(膀胱炎・尿路閉塞の疑い)
特に注意が必要な猫
去勢した雄猫は尿道が細く、尿路閉塞になりやすいため水分補給が特に重要です。尿が全く出ない状態が6時間以上続く場合は緊急事態です。すぐに動物病院へ。