猫を飼い始めたばかりの方が獣医師に最初に相談することのひとつが、去勢・避妊手術です。「かわいそうじゃないの?」「本当に必要なの?」という疑問を持つ方もいますが、室内飼いの猫にとって去勢・避妊手術は健康寿命を延ばし、生活の質を上げる重要な選択肢です。この記事では、知っておくべき情報をすべてまとめます。
手術を行う主な理由
- 望まない繁殖を防ぐ
- 性ホルモンに関連する病気(子宮蓄膿症・乳腺腫瘍・精巣腫瘍など)の予防
- 発情行動(大声での鳴き・スプレー・脱走衝動)の軽減または消失
- 縄張り意識の緩和・攻撃性の低下
手術を行う最適な時期
一般的に推奨される時期は「生後5〜7ヶ月・初回発情が来る前」です。雌猫は生後6〜7ヶ月で初発情を迎えることが多く、初回発情前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍のリスクを大幅に低下させることができます(初回発情前:91%低下・初回発情後:86%低下・2回発情後:11%まで低下)。雄猫も生後6ヶ月前後、マーキングや攻撃性が出る前に去勢するのが理想です。
費用の目安
- 雄猫の去勢手術:15,000〜30,000円(日帰り〜1泊)
- 雌猫の避妊手術:25,000〜50,000円(1〜2泊)
- 地域・病院によって差がある。動物病院の初診時に確認を
- 自治体によっては補助金制度あり(市区町村の窓口で確認)
手術当日の流れ
手術前夜から絶食・絶水が必要です(通常12時間前から)。全身麻酔をかけて手術を行い、雄猫は日帰り、雌猫は1〜2泊の入院が一般的です。術後はエリザベスカラー(傷をなめないための首輪)をつけて帰宅します。縫合糸の抜糸が必要な場合は1〜2週間後に再来院します(最近は溶ける糸を使うことも多く、抜糸不要のケースも)。
術後の自宅ケア
- 帰宅後は静かな場所で安静に。他のペットや子どもからは隔離する
- 麻酔が完全に覚めるまで食事は控え、水は少量から
- 傷口をなめないようエリザベスカラーの装着を維持する
- 傷口が赤い・腫れている・滲出液が出る場合はすぐに受診
- 激しい運動は術後1週間程度は控える
術後の体の変化と注意点
去勢・避妊後はホルモンバランスの変化により代謝が落ちます。同じ量のフードを与え続けると太りやすくなります。術後2〜3ヶ月後から「去勢・避妊後用」フードに切り替えることをおすすめします。また、去勢後の雄猫は尿道が細くなるわけではありませんが、水分摂取量が落ちることで尿路結石リスクが上がることがあるため、水分補給環境の見直しも大切です。
「かわいそう」という気持ちについて
手術を悩む気持ちはよく理解できます。ただ、発情中の猫が感じるストレス・繁殖できないことへのフラストレーション・病気のリスクを考えると、適切なタイミングでの手術は猫の生涯の幸福度を高めることにつながります。迷ったらかかりつけの獣医師に相談してみてください。